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会社に係る税金の全体像

一般的に、会社が納めなければならない税金には以下のものがあります(※1)

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               課税主体による分類
        国 税      地方税
課税目的の経済対象による分類所得課税法人税、地方法人税、特別法人事業税法人住民税、法人事業税
消費課税消費税地方消費税
資産課税償却資産税(固定資産税の一種)

(※1)本サイトでは、事業形態等に関わらず一般に会社が最低納めなければならない税金をカバーしています。特定の業種や資産、取引等に関わる税金には触れておりませんのでご注意ください。また、税金に関するより一般的な解説については、別記事「税金に関する一般知識」をご参照下さい。

各税目の内容については後ほど説明しますが、上に掲げた税金については基本的に納税者である会社から申告を行う必要があり、申告を怠るとペナルティが課される可能性があります。いきなりこんなに多くの税金の種類を見ると、申告を忘れてしまうことが心配になるかもしれません。しかしながら、実際には、償却資産税以外は全て決算及び法人税の確定申告から一連の流れで行うものであり、法人税と消費税(課税事業者の場合)について通常の申告手続を踏めば、申告を失念する心配はほとんどありません。申告手続について概要を説明すると、以下の通りです。

  • 法人税及び地方法人税は、一括の手続で同じ申告書で納税します。(納付書は別)
  • 法人住民税と法人事業税(及び特別法人事業税)の申告書は、法人税の申告書作成に連動して同時に作成します。
  • 消費税(及び地方消費税)の申告書は、法人税等とは別の申告作業になりますが、決算後の一連の手続として法人税の申告書と同時期に(先行して)作成します(課税事業者の場合)。

以下、各税目の内容について順に説明していきます。尚、(償却資産税以外の)申告手続の詳細については、別記事「法人税等の申告手続について」をご参照ください。

法人税及び地方法人税

法人税は、個人の所得税に相当するもので、会社の所得に係る国税です。地方法人税も法人税と同様、会社の所得に係る国税ですが、その目的は地方による税収の偏りをなくすためであり、地方交付税の財源となります。法人税と地方法人税は、決算後2ヶ月以内に、同じ申告書を使って同時に申告します(納付書は別になります)。申告、納付の窓口は、所轄の税務署です。e-Taxによる申告、納付も可能です。

法人住民税

会社の事業所等がある都道府県(都道府県民税)と市町村(市町村民税)に納める地方税です。税額は、資本金の額や従業員の数に応じて課税される「均等割」と、その事業年度の法人税額をもとに計算される「法人税割」の合計額からなり(税率は自治体により異なります)、決算後2ヶ月以内に、道府県税事務所及び市町村役場へ申告、納付します。(東京23区は、道府県民税と市町村民税を合わせて都税事務所に納めます。)eLTAXによる申告、納付も可能です。

2つ以上の都道府県や市町村に事業所がある場合、法人税割は各事業所の社員数で税額を按分して納めますが、均等割はそれぞれ決まった額を自治体ごとに納めるため、事業所が増えると負担も増えます。

法人事業税及び特別法人事業税

会社や社員が受ける都道府県の公共サービスの費用のために、会社のある都道府県に納める税金です。業種や資本金、所得の額などに応じて、自治体により異なる税率が適用となります。事業所が2つ以上の都道府県にある場合、定められた方法で按分してそれぞれの都道府県に納めます。申告、納付は決算後2ヶ月以内に、都道府県民税と一緒に都道府県税事務所へ行います。

消費税及び地方消費税

会社が課税事業者の場合(※2)、課税期間(=事業年度)終了の翌日から2ヶ月以内に、所轄税務署に消費税及び地方消費税の確定申告書を提出するとともに、消費税額と地方消費税額を併せて納付しなければなりません。

(※2)課税事業者となるかどうかは、別記事「消費税の課税事業者になるかどうか、について」をご参照ください。

尚、課税事業者であって、直前の課税期間の消費税(地方消費税を除く、国税の部分のみの金額)の年税額が48万円を超えている場合、中間申告と納付を行わなければなりません。中間申告と納付の回数及び1回あたりの納付税額は、直前の課税期間の確定消費税額(国税の部分のみの金額)によって以下のように変わります。

【表4】消費税の中間納付額

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前課税期間の消費税額中間申告の回数1回当たりの納付税額
48万円以下原則として中間申告不要
48万円超、400万円以下年1回前期消費税額の12分の6
400万円超、4,800万円以下年3回前期消費税額の12分の3
4,800万円超年11回前期消費税額の12分の1

中間申告の要否及び回数は、(国税部分の)消費税額のみで判定しますが、中間申告、納付は、地方消費税額も併せて行います。地方消費税額は、消費税額の78分の22です。

申告、納付期限は、各中間申告の対象期間の末日から2ヶ月以内です。但し、年11回の場合は、当課税期間開始以降1月目の中間申告期間については、当課税期間開始の日から2月を経過した日から2ヶ月以内です(例えば3月決算の場合、4月分の中間申告、納付期限は、7月末になります)。

中間申告における申告納付額は、原則、前課税期間の消費税額を中間申告期間に按分した金額ですが、その代わりに、中間申告期間を一課税期間と見做して仮決算を行い、それに基づいて消費税(及び地方消費税)を申告、納付することもできます(仮決算方式)。(仮決算方式に対して、通常の中間申告を予定申告方式と呼ぶこともあります。)

償却資産税

最後に、償却資産税(※3)ですが、これは合計150万円以上の償却資産を保有している事業者に係る税金で、毎年1月1日時点の償却資産の状況を1月31日までに各市町村へ申告し、その後送付される納税通知書に従って、納税することになります。

(※3)償却資産に課される固定資産税のことで、土地や建物に課される固定資産税と区別して、通称として償却資産税と呼ばれています。

対象となる償却資産は、土地、建物以外の事業に供する有形固定資産で、一般に、所得税法又は法人税法の所得の計算上の減価償却の対象となる資産です(自動車税、軽自動車税の対象となる車両は対象外など、例外はあります)。課税標準額(取得価額から減価償却を控除した金額)が150万円未満の場合は、原則課税対象外ですが、償却資産の申告自体は必要です。初年度と次年度以降で、以下の通り申告方法が異なるので注意が必要です。

全資産申告初めて申告する場合に全ての償却資産を申告するもの
増減申告前年以前に申告した事業者へ市町村から送付する償却資産一覧表をもとに増減を申告するもの

固定資産税の課税主体は原則として市町村ですので、手続の詳細は「各市町村名、償却資産税」などで検索してみてください。ちなみに、東京23区の場合は、都が課税主体で、東京都主税局「固定資産税(償却資産)」に手引書などが開示されています。

以上述べてきた税目の中で、償却資産税だけは、法人税からの一連の手続とは違い、償却資産の申告に基づき送付される納税通知書によって納付手続を行いますので、毎年1月31日までに償却資産の申告を行うことを失念しないよう注意が必要です。

以上