最新更新日:2024年12月22日
本記事では、従業員等を採用する場合に必要な雇用保険と社会保険の手続について解説します。従業員等とはいわゆる正社員だけでなく、パート、アルバイト、契約社員なども含めて資格要件を満たす場合に必要な手続になります。
採用する従業員等が資格要件を満たすかどうかの判断については、別記事「労働保険の適用基準」及び「社会保険の適用基準」をご参照ください。また、初めて従業員等を採用する場合には、事業所としての手続も必要ですが、それについては別記事「労働保険の加入手続」及び「社会保険の加入手続」をご参照ください。本記事では、事業所としての手続は済んでいる前提で、従業員等の採用時に必要となる手続についてカバーします。
因みに、労働保険には雇用保険の他に労災保険もありますが、労災保険は適用事業の労働者に自動的に適用され、労働者ごとの資格取得手続はない(労働者には保険料の負担もない)ため、本記事で触れることはありません。
雇用保険の資格取得手続
雇用保険の被保険者となる従業員等(※1)を採用する都度、下表1の手続を行います。
(※1)採用する従業員等が雇用保険の被保険者のうち「一般被保険者」「高年齢被保険者」または「短期雇用特例被保険者」(つまり「日雇労働被保険者」以外の被保険者)に該当する場合に必要な手続です。(雇用保険の被保険者の種類については別記事「労働保険の適用基準」をご参照。)
【表1】
| 提出するもの | 提出先 | 提出期限 |
|---|---|---|
| 雇用保険被保険者資格取得届 | 所轄の公共職業安定所 | 雇用の翌月10日まで |
尚、雇用保険被保険者資格取得届の様式、記入方法などについては厚生労働省「マイナンバー制度(雇用保険関係)」からアクセス可能な他、e-Gov による電子申請も可能です。
公共職業安定所において手続き後、雇用保険資格取得等確認通知書(被保険者通知用・事業主通知用)と雇用保険被保険者証が送付されるので、このうち雇用保険資格取得等確認通知書(被保険者通知用)と雇用保険被保険者証を従業員等へ交付します。
社会保険の資格取得手続
社会保険(健康保険、厚生年金保険)の適用事業所が従業員等を採用する都度下表2の手続を行います。尚、ここでは採用する従業員等が健康保険の一般被保険者の場合(つまり日雇労働者を採用する場合は除く)、及び厚生年金保険の当然被保険者の場合(つまり任意加入の被保険者は除く)を前提として解説します(※2)。
(※2)社会保険の被保険者の類型については、別記事「社会保険の適用基準」をご参照。
【表2】
| 届出書類 | 届出先 | 届出期限 | |
|---|---|---|---|
| ① | 健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届 /厚生年金保険 70歳以上被用者該当届 | 事業所の所轄年金事務所(※3) | 事実発生日から5日以内(※4) |
| ② | 健康保険 被扶養者(異動)届 /国民年金 第3号被保険者関係届 | 同上 | 同上 |
(※3)健康保険組合に加入している場合は、健康保険組合へも(健康保険に関する届出を)別途提出する必要があります。(協会けんぽ加入の場合は年金事務所への提出のみ。)
(※4)船員の厚生年金保険及び船員保険(一般の健康保険に相当)の被保険者の資格取得届は、事実発生日から10日以内。
以下、表2について補足致します。
- ①の届出の記入に必要な「報酬月額」については、別記事「社会保険の標準報酬月額とその決め方」の資格取得時決定をご参照ください。
- ①については、採用する従業員等が高齢者の場合に注意が必要です。まず、厚生年金保険については70歳以上で加入義務がなくなるため「被保険者資格取得届」の代わりに通常は「70歳以上被用者該当届」の届出義務があります(本届出は表題の通りその両方を兼ねています)。また、健康保険については75歳以上で後期高齢者医療制度に切替わるため「被保険者資格取得届」の提出は不要になります。つまり、採用する従業員等が厚生年金保険の「70歳以上被用者」に該当する限り本届出の提出が必要ですが、従業員等が75歳以上で、且つ「70歳以上被用者」に該当しない場合には本届出は不要になります。「70歳以上被用者」の該当要件については別記事「従業員等の70歳到達」をご参照ください。
- ②は採用する従業員等の親族を健康保険の被扶養者にする場合、及び、同配偶者を国民年金の第3号被保険者にする場合に提出します。それぞれの該当要件は「健康保険の被扶養者」、「国民年金の第3号被保険者」をご参照ください。
- 上記届の様式、記入方法などについては日本年金機構「被保険者・被扶養者関係(資格取得・喪失等)」からアクセス可能な他、e-Gov による電子申請も可能です。
年金事務所において手続後、全国健康保険協会(協会けんぽ)から健康保険の資格情報通知書が送付されるので従業員等へ交付し、年金事務所からは標準報酬決定通知書が送付されるので従業員等へ内容を通知するとともに、以降、記載された標準報酬月額を社会保険料控除額の計算に利用する(※5)ことになります。
(※5)社会保険料の控除については給与計算に係る「控除項目の計算」にて、納付手続については「健康保険、介護保険、厚生年金保険の保険料の納付手続」にて解説します。
以上
