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健康保険、介護保険、厚生年金保険の保険料の納付手続

初回投稿日:2024年11月22日

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保険料納入告知書 子ども・子育て拠出金 オンライン事業所年金情報サービス

健康保険、介護保険、厚生年金保険の保険料の納付は、毎月20日頃に日本年金機構(年金事務所)から送られてくる「健康保険料(介護保険料)・厚生年金保険料の保険料納入告知額・領収済額通知書」(以下、「保険料納入告知書」といいます)に基づき、その月末までに納付します。

これら(狭義の)社会保険料については、被保険者を採用した際の資格所得時決定、その後の定時決定などの手続を経て被保険者ごとの保険料が決まります(※1)が、それらの情報に基づき事業所ごとの納付額として送られてくるのが保険料納入告知書です。

保険料の(毎月の給与からの)控除から納付までのタイミングについて再確認すると、当月分の保険料(被保険者負担分)は翌月支給の給与から控除し、翌月(給与支給月)末までに事業者負担分も合わせて(保険料納入告知書によって)納付することになります(※2)

加えて、賞与支払時には賞与支払届を支払日から5日以内に所轄の年金事務所に届出なければなりません(※3)が、それによって翌月の保険料納入告知書に賞与に係る社会保険料も合算されて送られてくるので、毎月の保険料と合わせて納付することになります。

また、保険料納入告知書には、以上の保険料に加えて、「子ども・子育て拠出金」の納付額が記載されています。これは、厚生年金保険の適用事業所の事業者に対して、児童手当の支給等に要する費用負担として徴収するもので全額事業者負担となります(被保険者の負担はありません)。拠出金の額は、各被保険者の標準報酬月額及び標準賞与額に拠出金率(0.36%)を乗じて得た額の総額です。

保険料納入告知書を受け取ったら、まず、記載されている保険料を確認しましょう。

保険料納入告知書に記載されている金額との相違が僅かな場合は、端数処理が原因かもしれません。例えば、被保険者から徴収する保険料は、(標準報酬月額(標準賞与額)に保険料率を掛けた結果1円未満の端数がでた場合)「50銭以下切捨て、50銭超切上げ」と個別に端数処理を行う一方、事業者が納付する保険料は被保険者ごとの端数処理は行わずに保険料合計を求め、その合計額に1円未満の端数がでた場合は切捨てます(結果、事業者の納付額と被保険者負担額合計との差額が事業者負担となります)。子ども・子育て拠出金の場合も、その計算方法は保険料の合計額と同様、各被保険者の標準報酬月額(標準賞与額)に拠出金率を乗じて(この段階では端数処理は行わず)、その合計額に端数があれば切捨てます。

また、保険料納入告知書に記載されている金額との相違が大きい場合は、保険料の対象者にずれが生じている可能性があります。各保険の資格取得・喪失や保険料徴収の開始・終了のタイミングに該当する対象者に焦点を当てて検証するのも良いでしょう(※4)。後述の「オンライン事業所年金情報サービス」を利用すれば、保険料の増減の内訳を被保険者ごとに確認できる「保険料増減内訳書」(※5)を入手することができ、相違が生じた際の付き合わせに利用できます。

下図1は、保険料納入告知書の例です(※6)が、「① 領収済通知書」、「② 領収控」、「③ 納入告知書 納付書・領収証書」の3枚綴りになっており、金融機関の窓口で納付する場合には3枚とも切り離さずに提出します。納付は、口座振替、又は電子納付(Pay-easy)によることもできます(詳しくは、日本年金機構「厚生年金保険料等の納付」をご参照ください)。

【図1】保険料納入告知書の例

最後に、e-Gov (※7)の「オンライン事業所年金情報サービス」について触れておきます。これは令和5年1月から始まったサービスで、社会保険関係の情報を電子データで受け取れるものです。保険料納入告知書の到着前に毎月の社会保険料が確認できる「社会保険料額情報」や、前述した保険料の差異分析に利用できる「保険料増減内訳書」などが入手できます。詳しくは、日本年金機構「オンライン事業所年金情報サービス(事業主の方)」をご覧ください。

(※1)これらの手続については「社会保険の標準報酬月額とその決め方」をご参照。

(※2)より詳細には、「社会保険の資格取得と喪失、保険料の徴収開始と終了のタイミングについて」をご参照。

(※3)賞与支払届については、「賞与計算」をご参照。

(※4)この場合、「社会保険の資格取得と喪失、保険料の徴収開始と終了のタイミングについて」をご参照ください。

(※5)日本年金機構「保険料増減内訳書の表示例」をご参照。

(※6)日本年金機構「社会保険料の納入告知書(納付書)について」より抜粋。

(※7)e-Gov は、デジタル庁が所管する社会保険などの行政オンラインサービスです。行政オンラインサービス全般については「行政のオンライン手続について」をご参照。

以上