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休日と休憩のルール

初回出稿日:2024年7月1日

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法定休日 所定休日 休日と休暇の違い 代休 振替休日 代替休暇

本記事では、労働者の休日及び休憩に関するルールについて解説します。まず、それぞれの原則を押さえた上で、適用除外となる例外について説明します。さらに、休日と休暇の違い、代休と振替休日の違い等についてもカバーします。

休日と休憩の原則

休日の原則

労働基準法により使用者は労働者に1週間に1日、または4週間に4日以上の休日を与えなければなりません(※1)。これを法定休日といい、事業者が独自に定める所定休日(または法定外休日)と区別されます(※2)

より正確に言うと、法定休日は原則1週間に1日ですが、別途定める場合は4週間で4日の適用も可能ということです。この場合、就業規則(又は準ずるもの)にてその旨、及び4週間の起算日を明らかにする必要があります(※3(※4)

週1日の法定休日の場合、1週間の起算日は別段の定めのない限り日曜日とされます。

1週間に所定休日が複数あり、うちどれが法定休日か定めがない場合、「1週間で最も後順に位置する休日」を法定休日とする解釈が一般的です(※5)

法定休日に労働させる場合には、36協定(※6)を締結し労働基準監督署へ提出した上で、割増賃金の支払が義務付けられています(※7)。一方、所定休日の労働について割増賃金を払うかどうかは事業所の規定によります(※8)。従って、所定休日の労働に対して割増賃金を払わない場合(もしくは、割増率が法定休日と異なる場合)は、法定と所定の休日を明確に区別する必要があります。

(※1)労働基準法35条

(※2)法定休日と法定外休日を合わせて所定休日と呼ぶこともあります。この呼び方によれば、1日8時間労働の場合、週40時間が上限(別記事「労働時間のルール」ご参照)なので、所定休日は週2日で、うち1日が法定休日になります。

(※3)例えば、「休日は4週間に4日以上与えるものとし、起算日は毎年4月の第一日曜日とする。」と規定した場合、毎年4月の第一日曜日から4週間毎に区切った各期間において4日以上の法定休日を取得させることになります。

(※4)常時10人未満の労働者を使用する事業所であって就業規則がない場合、書面にて労働者に周知させる必要があります。

(※5)厚生労働省「改正労働基準法に係る質疑応答」のQ10.の中段「また、」以下による。例えば、土日を所定休日とし1週間の起算日が月曜日の場合は、日曜日が法定休日。同じく土日を所定休日とし、1週間の起算日の規定がない場合は(日曜日が起算日と解釈され)土曜日が法定休日となります。但し、混乱を避けるためには「日曜日を法定休日とする。」など、法定休日を具体的に定めておくのが良いでしょう。

(※6)36協定については別記事「労使協定について」をご参照。

(※7)割増賃金のルールについては別記事でカバーします。

(※8)所定休日労働に割増賃金を払わない場合でも、所定休日の労働の結果、月40時間の法定労働時間を超えた場合は、時間外労働の割増賃金の支払義務は生じます。

休憩の原則

労働基準法により使用者は労働者に一定の休憩時間を与える義務があり、その概要は以下の通りです(※9)

1日の労働時間必要な休憩時間
6時間以下与えなくても良い
6時間超、8時間以下45分以上
8時間超1時間以上

また、休憩時間には以下の3つの条件があります。

① 労働時間の途中に与えること
② 労働者に一斉に与えること
③ 休憩時間は自由に利用させること

但し、②の一斉付与に関しては、以下の特定の業種は適用除外となるほか、それ以外でも労使協定を締結すれば適用除外になります。

【特定の業種】

運輸交通業、商業、金融・広告業、映画・演劇業、通信業、保健衛生業、接客娯楽業、官公署の事業 

(※9)労働基準法34条

休日と休憩の例外

上記の原則には、以下の例外があります。

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例外となる対象者休日の原則休憩の原則
(1)法41条該当者適用除外適用除外
(2)高度プロフェッショナル制度の対象者適用除外
但し、年間104日以上、且つ4週間を通じ4日以上の休日付与が必要
適用除外

(1)は労働基準法41条に規定する管理監督者など、(2)の高度プロフェッショナル制度とは、高度な専門知識等を有し一定の年収要件を満たすなどの労働者に対し、一定の手続を経て労働基準法の休日、休憩、さらに労働時間と深夜労働の割増賃金の規定を適用除外とする制度です。(1)(2)とも詳細は別記事「労働時間のルール」をご参照ください。

休日と休暇の違いについて

休日とは労働者が労働義務を負わない日、休暇とは本来労働義務を負う日であって使用者が労働義務を免除する日のことです。両方とも労働者が「仕事をしない日」という似たような意味ですが、労働法上は両者は区別して使われていますので、その違いを具体的に説明します。

  • 休日は、労働義務を負わない日なので、仮に休日に労働させる場合は追加の報酬支払が必要です。一方、休暇は、本来労働義務を負う日に労働を免除する日なので、使用者に休暇分の報酬支払義務は(年次有給休暇を除き)ありません。
  • より具体的に言うと、休日には、 上で見たように法定休日と、事業者が独自に定める所定休日がありますが、いずれも休日労働には追加の報酬支払が必要です(法定休日労働の場合、さらに割増賃金も適用されます)。一方、休暇にも、年次有給休暇、産前産後休業、育児・介護休業法に基づく休業などの法定休暇(※10)と、慶弔休暇、永年勤続休暇、リフレッシュ休暇など事業者が独自に定める任意(特別)休暇がありますが、いずれも(年次有給休暇を除き)有給、無休の選択は任意です。
  • 因みに、月給制の場合、両者の違いは残業手当、休日手当などの時間単価にも影響します。詳細は給与計算の解説で述べますが、時間単価は年間所定労働日数が少ないほど高くなるため、年間の休日が多くなるほど時間単価は高くなります。一方で、休暇の数は所定労働日数には影響がないため、時間単価に影響はありません。つまり、年間の休日と休暇の合計数が同じ場合、休日が多い方が残業手当などの支払が多くなるのです。

(※10)法定休暇については別記事「法定休暇のルール」ご参照。

代休と振替休日の違い、代替休暇について

代休と振替休日は、どちらも本来の労働日を休みにするものですが、労務管理上は明確に区別する必要があるので注意しましょう(※11)

  • 代休とは、休日に労働をさせ、事後に代わりの休日を与えることです。休日労働の事実は変わらず、法定休日に労働させた後に代休を与えた場合は、割増賃金の支払が必要です(所定休日の場合は事業所の規定によります)。
  • 振替休日とは予め、休日であった日を労働日とし、代わりに他の労働日を休日とすることです。予め振り替えることで、本来の休日が労働日に、労働日が休日なるため、休日労働には当たりません。従って、割増賃金の支払も原則不要です。

但し、振替休日でも以下の場合には割増賃金が必要になりますので注意が必要です。

  • 1週間に1日(又は4週間に4日)の法定休日に満たない場合
    • 振替休日が週を跨いだ結果、元の週で最低1日の法定休日の要件を満たさなくなった場合、法定休日労働の割増賃金を支払う必要があります。
  • 1週間40時間の法定労働時間を超える場合
    • 振替休日が週を跨いだ結果、(法定休日は満たしても)週の法定労働時間を超えた場合、時間外労働の割増賃金を支払う必要があります。

因みに、似たような言葉で代替休暇というものがありますが、これは1ヶ月の法定時間外労働が60時間を超えた場合に、労使協定を締結することで追加の割増賃金の支払いに代えて労働者が取得できる制度であり、全く異なる意味ですのでご注意ください。

(※11)休日の原則が適用除外となる法41条該当者と高度プロフェッショナル制度の対象者は、代休や振替休日も考慮不要となります。

以上