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合同会社の設立手続(設立登記まで)

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絶対的記載事項(合同会社の定款の) 相対的記載事項(合同会社の定款の) 任意的記載事項(合同会社の定款の)

社員(持分会社の) 業務執行社員 代表社員 職務執行者

本記事では、合同会社の設立手続について解説します。手続を司法書士などに依頼するのではなく、社員(※1)が自ら手続を行うケースを前提としています。

(※1)株式会社の場合、社員と言えばいわゆる従業員を意味しますが、合同会社(を含む持分会社)では社員は出資者を意味します。そして持分会社の「所有と経営の一致」原則により、社員は出資者であると同時に経営者でもあります。社員の一部に経営権を与える(業務執行社員とする)ことは可能ですが、株式会社のように出資者でない者に経営権を与える(業務執行社員とする)ことはできません。

この記事の内容

会社設立手続と言えば、狭義では設立登記までを指しますが、一般にはその後の税務署や役所等の手続、銀行口座の開設なども含めることもあるでしょう。但し、本記事では合同会社に関して狭義の設立手続をカバーし、設立登記以降の手続は別記事(※2)で扱うことにします。理由は、その後の手続までカバーすると記述が非常に長くなってしまうことに加え、設立登記まは合同会社と株式会社で違いがある一方、その後の手続は両者共通なため、設立登記の前後で分けて解説する方が解りやすいと考えるからです。

以上を踏まえ、合同会社の設立の手順として、以下の項目を章ごとに解説していきます。以下の項目は、ほぼ手続の順番通りですが、実際の進め方としては、まず以下の(1)から(5)を通して定款、登記申請書、添付書類など全てのドラフトを作成し、登記所で内容、形式などの確認を行なった後、押印、綴込みにより書類を完成させて提出するのが良いでしょう。

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(1) 事前準備
(2) 定款の作成
(3) 社員による決定
(4) 出資の履行
(5) 設立の登記

(※2)「会社設立登記後の必要手続」ご参照。

(1)事前準備

会社設立の第一歩は、会社や事業の基本事項の検討から始めます。手続的には、定款の作成や登記申請に必要な項目を事前に決めておくことです。具体的には、以下のような項目です。

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・商号 ・事業目的 ・本店の所在地
・社員、業務執行社員、代表社員  
・決算期 ・資本金の額 ・社員毎の出資金の割当て

これら項目の検討に関して、注意点などについては、別記事「会社設立の事前準備」をご参照ください。

(2)定款の作成

事前準備が済んだら定款の作成に着手します。定款は会社の最も根本的な事柄を定めたもので、会社設立時の定款を「原始定款」といいます(※3)。原始定款は社員となる者が作成し、社員全員が署名(※4)、又は記名(※4)押印します。(ドラフト段階では署名又は押印せず、登記所で相談の後、改めて署名又は押印するのが良いでしょう。)

(※3)対して、今現在有効な定款を「現行定款」という。

(※4)署名は自筆で氏名を手書きすること、記名は署名以外の方法で氏名を記載(パソコン印刷、ゴム印の使用など)することをいう。

定款の記載事項には、絶対的記載事項、相対的記載事項、任意的記載事項があります。

【表1】定款の記載事項

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絶対的記載事項:記載しなければ定款全体が無効となる事項
 ・商号 ・目的 ・本店の所在地
 ・社員の氏名又は名称(※5)及び住所 ・社員全員が有限責任である旨 ・社員の出資の目的及びその価額又は評価の標準(※6)
相対的記載事項:記載しなくても定款自体の効力に関係ないが、記載しないとその効力が認められない事項
 ・持分の譲渡(定めなければ、譲渡に際して他の社員全員の承諾が必要。但し、業務を執行しない社員は、業務執行社員全員の承諾で可。)
 ・業務執行社員(定めなければ、社員全員が業務執行権を有する。)
 ・代表社員(定めなければ、社員(又は業務執行社員)全員が代表権を有する。)
 ・利益の配当(定めなければ、社員はいつでも利益の配当を請求できる。)
 ・解散の事由(存続期間や解散事由を定款で定めることができる。)
 ・公告の方法(定めなければ、官報への掲載による。)(※7)
 ・定款の変更(定めなければ、総社員の同意が必要。)
など
任意的記載事項:会社法に違反しないものであれば定款に記載できる事項
 ・業務執行社員の員数 ・社員総会を開催する場合の規定 ・事業年度、決算期 など

(※5)個人の場合を「氏名」、法人の場合を「名称」という。

(※6)出資の目的(内容)が金銭の場合、「金10万円」などと記載。現物出資の場合、その明細(例:乗用車1台、メーカー、車種、製造年、型式車台番号など)と評価額(例:金100万円)を記載します。

(※7)合同会社は、株式会社と違って決算公告を行う必要がないので、公告を行う機会はほとんどありません。但し、公告の方法は、後述の「登記すべき事項」に含まれるので、定款にも記載するのが通常です。方法としては実務的に手軽な「官報に掲載」を選択するのが通常です。

定款の記載例については、以下のリンクが参考になります。

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法務局「商業・法人登記申請手続」(※8)
法務省「一人会社の設立登記申請は完全オンライン申請がおすすめです!」(※9)

(※8)リンクを開き、「その他の会社・法人の登記をしたい方は以下の法人種別の中から選択」という表記の下の「持分会社」を選択。その後「設立」を選択し、「合同会社設立登記申請書」→「記載例」をクリックすると設立登記申請書の記載例が表示されます。その添付書類の中に「定款の記載例」があります。

(※9)発起人が1人の「一人会社」の場合の定款等の記載例が参考になります。オンライン申請の説明サイトですが、「3 添付書面情報の添付」以下で、WORD、一太郎それぞれで定款等の作成例が公開されています。

ところで、定款の作成方法には、書面による方法(紙ベース)の他に、PDFファイルにして電子署名を付与し、CD-Rなどに保存する方法(この方法による定款を「電子定款」と呼びます)があります。電子定款を作成するには、WORDなどで作成した定款ファイルを、Adobe Acrobat(有償のPDF作成ソフト)を利用してPDF化し、更に「登記・供託オンライン申請システム」の提供する「PDF署名プラグイン」などを利用して電子署名を付与するなどの手順を踏みます。電子定款を利用すれば、紙の定款に貼る4万円の収入印紙(後述)が不要なので、その分安く作成できる一方、PDF化や電子署名の付与に経験のない場合には多少のコストと手間を伴うことになります。(但し、合同会社は株式会社に比べれば認証手続が不要な分、電子定款の作成は容易と言えます。) 本記事では、書面(紙ベース)での定款を前提に解説していきます。

定款の書面の大きさ等に決まりはありませんが、A4サイズの用紙に片面印刷するのが一般的となっています。

定款は、登記申請用と会社保存用の最低2通作成し、会社保存用に4万円の収入印紙を添付します。2通とも各ページの間に割印(契印)するか、袋とじにして綴じ目に割印(契印)します。割印(契印)の仕方については、以下のリンクが参考になります。(以下のリンクは株式会社の定款についてですが、割印(契印)、袋綴じの方法は合同会社も同様です。)

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京橋公証役場 「各ページに割印(契印)するサンプル例」
京橋公証役場 「袋綴じの方法」

(3)社員による決定

社員や業務執行社員は、下表2の項目について、定款に定めのない場合に過半数の決定により定め、その決定書を設立登記申請書に添付書類として提出する必要があります。決定書は、定款の作成日以降、登記申請書の作成日までに適宜作成します。

【表2】社員の決定事項

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項目決議要件登記申請時の添付書類
1. 代表社員の選定(※10)業務執行社員の過半数の一致各項目の決定書
2. 本店の所在場所(※11)
3. 資本金の額
4. 支店の所在場所(※12)
5. 支配人の選任(※12)社員の過半数の一致(※13)

(※10)定款では代表社員を直接定めず、業務執行社員の互選により定める旨規定をおいた場合に、決定が必要。代表社員の選定方法については後述ご参照。

(※11)所在場所とは地番まで含めた所在地のこと。定款で本店の所在地を最小行政区画までしか定めなかった場合に別途決定が必要。

(※12)支店、支配人を置く場合

(※13)支配人は、その支店(営業所)における業務執行権、代表権を有することから、原則、全社員の過半数で選任することになります(定款で別段の定めがある場合を除く)。

合同会社が設立時から支店や支配人を置くことは稀なケースかと思いますが、念の為記載しています。

表2の項目1〜3については、該当する場合、一つの決定書にまとめて記載することが一般的で、その場合「代表社員、本店所在地及び資本金決定書」などとして作成します(※14)。決定書の記載例は法務局 「商業・法人登記申請手続」(※15)を、一人会社の場合は法務省「一人会社の設立登記申請は完全オンライン申請がおすすめです!」(※16)もご参照ください。これら決定書の決定は、業務執行社員の過半数によるとするのが通常ですが、登記所によっては社員の過半数によるものとする運用もされているようです(上述の記載例でも社員の記名によることになっています)。また、これらの決定書には基本的に押印不要です(詳細は、後述「(5) 設立の登記」、「申請書、添付書類の押印の要否について」ご参照)が、登記所によっては記名だけでなく押印を求めるところもあるようです。従って、手続にあたっては、管轄の法務局に確認しておくことをお勧めします。

(※14)仮に代表社員については直接定款に定めがある場合は、代表社員についての決定書は不要となり、その場合は「本店所在地及び資本金決定書」を作成します。更に、本店所在地についても地番まで定款に記載ある場合は、「資本金決定書」を作成することになります。

(※15)リンクを開き、「その他の会社・法人の登記をしたい方は以下の法人種別の中から選択」という表記の下の「持分会社」を選択。その後「設立」→「合同会社設立登記申請書」「記載例」をクリックすると設立登記申請書の記載例が表示されます。その添付書類の中に「代表社員、本店所在地及び資本金決定書」の記載例があります。

(※16)オンライン申請の説明サイトですが、「3 添付書面情報の添付」以下で、WORD、一太郎それぞれで添付書面の作成例が公開されています。

業務執行社員、代表社員の選定

ここで、合同会社の役員の選定方法についてまとめておきます。

業務執行社員の選定

合同会社では、定款に別段に定めがない限り、全社員が各自、業務執行社員となります(※17)。特定の社員を業務執行社員に選定する場合は、定款に業務執行社員の氏名、名称を直接記載するのが通常ですが、定款には「総社員の同意により業務執行社員を定める」と規定し、別途総社員の同意により定めることもできると解釈されています。後者の場合、「業務執行社員の決定書」を作成し設立登記書に添付する必要があります。(先述の定款記載例(法務局「商業・法人登記申請手続」など)でも業務執行社員は、定款で直接定める形となっており、本記事でもそれを前提に表2に「業務執行社員の決定書」は含めていません。)

(※17)会社法590条1項。

代表社員の選定

合同会社では、定款に別段の定めがない限り、業務執行社員が各自会社を代表しますが、特定の業務執行社員を代表社員とする場合は、定款に直接その氏名、名称を記載するか、定款には「業務執行社員の互選により定める」と規定し、業務執行社員の決議により定めることができます(※18)。後者の決議が表2の項目1に該当します。

(※18)会社法599条1項〜3項。

就任承諾書の作成

会社と役員の関係は委任契約に基づくため、役員となる者を選任するだけでなく、原則、被選任者から就任承諾書を得る必要があります。但し、合同会社の場合、基本的に所有と経営が一致するために、社員又は業務執行社員全員が代表権を有する場合は、就任承諾書は必要ありません。また、定款によって直接代表社員を定め、全社員が定款に署名又は記名押印している場合も、別途就任承諾書を作成する必要はありません(※19)。これに対し、業務執行社員の互選により代表社員を定めた場合は、改めて就任承諾書の作成が必要で、設立登記申請の際の添付書類となります。就任承諾書の記述例は、法務局 「商業・法人登記申請手続」をご参照ください。就任承諾書への押印は原則不要ですが、実務上は押印を求められるケースもあるようです。念のため管轄の登記所へ確認しておくことをお勧めします(詳細は、後述「(5) 設立の登記」、「申請書、添付書類の押印の要否について」ご参照)。

(※19)定款によって直接代表社員を定めている場合でも、代理人による作成(電子定款の場合も含め)により、定款に代表社員の署名又は記名押印がない場合は、別途就任承諾書が必要とされます。

法人が業務執行社員、代表社員となる場合

法人が合同会社の業務執行社員になる場合、その法人は職務を行う自然人を職務執行者として選任する必要があります。職務執行者の選任は、その法人の決定機関が行います。例えば、業務執行社員となる法人が株式会社で、取締役会設置会社である場合は取締役会で、取締役会非設置会社である場合は取締役の過半数をもって選任します。(業務執行社員となる法人が持分会社の場合は、原則、社員の過半数により選任します。) また、職務執行者はその法人の役員、従業員に限らず選任することができます(例:その法人の顧問弁護士など)。

法人が代表社員である場合は、職務執行者を選任したことを証する書面(取締役会議事録など)及び職務執行者の就任承諾書が設立登記申請書の添付書類として必要です。これらの書面の記載例も法務局 「商業・法人登記申請手続」をご参照ください。また、職務執行者の氏名及び住所が登記事項になります。

(4)出資の履行

合同会社では、各社員は、定款の作成後、設立の登記を行うまでに、出資の全部を履行しなければなりません(※20)。一般に、金銭による払込みは、代表社員となる個人又は法人の預金口座へ、社員全員(口座保有者自身も含め)がそれぞれの出資分全額を振り込みます。払込みを行う代表社員となる者の口座は、新規に作成しなくても構いませんが、その他の資金と区別するために専用の口座を開設できればベターでしょう。(会社名義の口座は、会社設立後に別途開設します。)

金銭以外の財産出資(現物出資)がある場合は、別途同時にその給付を行います。

(※20)会社法578条。

払込みを証する書面の作成

払い込みが完了したのち、振込がなされた口座の通帳の写し又は取引明細書に、代表社員による「払込みを証する書面」を付して会社設立の登記申請の際に添付書類とします。通帳の写し又は取引明細書は、金融機関名、店名、口座番号及び口座名義人と、全社員が振り込んだ取引明細の記載があるページのコピーが必要です。「払込みを証する書面」の記載例は法務局 「商業・法人登記申請手続」をご参照ください。 尚、「払込みを証する書面」への押印(及び通帳の写し等を綴じる際の契印)も原則不要となりました(※21)ので、「払込みを証する書面」に通帳の写し等をホッチキス留め(定款作成と同様、左側二箇所)するだけで結構です。

(※21)詳細は、後述「(5) 設立の登記」、「申請書、添付書類の押印の要否について」ご参照。

現物出資がある場合に必要な書類

現物出資を伴う場合は、次表3の書類も設立登記申請の添付書類として必要になります。記載例は法務局 「商業・法人登記申請手続」をご参照ください(※22)。これらの書面にも原則押印は不要です。

【表3】現物出資の際の追加書類

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財産引継書財産を現物出資する社員が、その給付を証する書面。
資本金の額の計上に関する証明書資本金の額が会社法及び会社計算規則の規定に従って計上されたことを、代表社員が証する書面。

(※22)財産引継書の記載例は、「持分会社」以下「設立」→「合同会社設立登記申請書」「記載例」の添付書類にはありません。「株式会社」以下の「設立」→「取締役会を設置しない会社」→「株式会社設立登記申請書」→「記載例」をご参考ください。その場合、記名欄の肩書きは「発起人」ではなく「社員」とし、「現物出資の目的たる財産の表示」は、定款記載(前述、※5をご参照)のとおりに記載します。

(5)設立の登記

さて、いよいよ合同会社設立の最後の手続として、設立登記申請書を完成し添付書類を整えて申請を行います。そして、合同会社はこの設立の登記をすることによって成立することになります(会社法579条)(※23)

申請書類のドラフト段階では、この章までの記述をもとに申請書及び添付書類のドラフトを完成し、押印箇所には鉛筆でマーク(実印、認印の別も)した上で、登記所に確認することをお勧めします。

(※23)申請日が会社設立日になるので、日にこだわる場合はご注意ください。但し、土日祝日など法務局が閉まっている日は選択できません。

申請先・申請方法

  • 申請先は、本店所在地の管轄法務局(※24)です。

(※24)法務局の管轄は、法務局「管轄のご案内」をご参照。例えば、東京都港区の場合、東京法務局港出張所になります。

  • 申請は、すべて書面(窓口又は郵送)にて行う方法と、オンラインを利用する方法があります。
  • 窓口にて申請する場合には、申請人の代表者(代表者が法人の場合は、その職務執行者)又は代理人が登記申請書に必要な書面を添付し提出します。(オンラインの利用については、以下のコラムをご参考ください。)
ご参考:オンラインの利用について

オンラインの利用には、「登記・供託オンライン申請システム」により、以下3通りの方法があります。

【表4】「登記・供託オンライン申請システム」を利用した登記申請方法

① 書面による登記申請の一部をオンラインで実施する(登記すべき事項のオンライン提出)
② 書面による登記申請の一部をオンラインで実施する(QRコード付き書面申請)
③ オンラインによる登記申請

表4の①、②は、基本的には窓口での書面申請ですが、一部をオンラインによって提出することで、その後の処理状況もオンラインでフォローすることができるサービスです。③に比べて利用要件も軽い割に、オンラインで状況フォローができる点がメリットですが、申請書の提出は窓口で行うことになります。

③は全てオンラインで手続するものですが、利用要件やシステム操作のハードルが若干高くなっています。

これらオンラインの利用要件等については、別記事「商業登記関係のオンラインサービス」をご参照ください。

先に述べた電子定款の作成(「(2) 定款の作成」)において電子署名を付与するために「登記・供託オンライン申請システム」を利用した場合は、同じシステムを利用する訳ですが、電子定款の作成(電子署名の付与)と登記申請は、どちらか一方だけ同システムを利用することも可能です。例えば、同システムの「PDF署名プラグイン」を利用して電子定款をCD-R等に保存した後、申請書や他の添付書類と一緒に窓口提出すること、あるいは書面で作成した定款を(PDF化、電子署名付与ののち)同システム(正確には、同システムの提供する申請用総合ソフト)に添付してオンライン申請することも可能です。但し、前者は、電子定款によって印紙代をセーブできるメリットがありますが、後者はオンライン申請の手間が掛かる上に印紙代がセーブできないため、実用的ではありません。

 

以下、全て書面にて申請を行う場合を前提に解説を続けます。

設立登記申請書

設立登記申請書には、法定記載事項(※25)を含め次表5の項目を記載します。書面について決まったフォームはありませんが、必要事項を横書きで書いて作成します。記載例は、法務局 「商業・法人登記申請手続」をご参照ください。

(※25)商業登記法17条2項。

【表5】設立登記申請書の記載事項

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(1) 商号(片仮名でフリガナをつける。)
(2) 本店の所在場所(住居表示上の地番まで記載。)
(3) 登記の事由(通常は、「設立の手続終了」のように記載。)
(4) 登記すべき事項(後述ご参照。)
(5) 課税標準金額(資本金の額)
(6) 登録免許税(資本金の額の1,000分の7の額。100円未満切捨て。但し、最低6万円。)
(7) 添付書類(添付する書類名と通数を記載。後述ご参照。)
(8) 申請の年月日
(9) 申請人である合同会社の商号、住所、及び代表社員の氏名又は名称及び住所
(10) 代表社員が法人の場合は、その職務執行者の氏名及び住所を追記
(11) 代理人により申請する場合はその氏名及び住所を追記
(12) 連絡先の電話番号(法定記載事項ではないが、記載するのが一般的です。)
(13) 登記所の表示(提出する登記所を記載。)

申請書には、代表社員又は代理人が記名押印します(詳細は、後述表9ご参照)。

登記すべき事項

表5、設立登記申請書の記載事項の一項目である「(4) 登記すべき事項」には、法定の項目(※26)を記載します。また、書面での登記申請書における「登記すべき事項」の提出方法には、下表7にあるように4通りの方法があります。

(※26)会社法914条。

【表6】「登記すべき事項」の記載項目

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(1) 目的
(2) 商号
(3) 本店及び支店の所在場所(住居表示上の地番まで記載。)
(4) 合同会社の存続期間又は解散の事由についての定款の定めがあるときは、その定め
(5) 資本金の額
(6) 業務執行社員の氏名又は名称
(7) 代表社員の氏名又は名称及び住所
(8) 代表社員が法人であるときは、その職務執行者の氏名及び住所
(9) 支配人の氏名及び住所、支配人を置いた支店(支配人を置いた場合に記載。)
(10) 公告をする方法(定款で特段の定めのない場合は、官報で公告する旨。)
(11) 登記記録に関する事項(「設立」と記載。)

【表7】「登記すべき事項」の記載、提出方法

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① 別紙にて提出申請書の「登記すべき事項」欄には「別紙の通り」と記載し、別紙に登記すべき事項を記載して申請書に添付
② CD-R等にて提出(※27)申請書の「登記すべき事項」欄には「別添CD-Rの通り」などと記載し、CD-R等に登記すべき事項を記録して申請書と一緒に提出
③ オンラインにて提出(※28)「登記・供託オンライン申請システム」を利用して、先述表4に示した「QRコード付き書面申請書」又は「登記すべき事項のオンライン提出」にて提出
④ 申請書に直接記載(※29)登記申請書の「登記すべき事項」欄に登記すべき事項を直接記載して提出

(※27)CD-R以外でもDVD-Rなど日本産業規格X0606形式又はX0610形式に適合する120mm光ディスクであれば良い。詳しくは法務省「登記すべき事項を記録した電磁的記録媒体の提出について」ご参照。

(※28)先述の表4に示した①、②方法により登記すべき事項事前にオンラインで送付するものです。詳細は別記事「商業登記関係のオンラインサービス」をご参照。

(※29)登記申請書が冗長になってしまうので、あまりお勧めできません。

添付書類

設立登記申請書の添付書類については、これまで各章で個別に触れてきましたが、一覧表にすると下表8のとおりです。これまで説明に従い必要なものを添付します。

【表8】設立登記申請書の添付書類一覧

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添付書類関連の章
1定款(2) 定款の作成
2社員の決定書(3) 社員による決定
① 代表社員の選定
② 本店の所在場所
③ 資本金の額
その他
3代表社員の就任承諾書(3) 社員による決定
4法人が業務執行社員である場合に必要な書類(3) 社員による決定
登記事項証明書(※30)
・さらに法人が代表社員である場合は、その職務執行者に関する以下の書面が必要
職務執行者を選任したことを証する書面(取締役会議事録など)
職務執行者の就任承諾書
5払込みを証する書面(4) 出資の履行
6現物出資がある場合に必要な書類(4) 出資の履行
財産引継書
資本金の額の計上に関する証明書
7委任状(代理人に申請を委任する場合)

(※30)発行後3ヶ月以内の履歴事項全部証明書又は現在事項全部証明書。但し、申請する登記所の管轄区域内に当該法人の本店が所在する場合は添付を省略することができます。また、当該法人の本店が、申請する登記所の管轄区域外であっても、添付書類欄に「登記事項証明書 添付省略 (会社法人等番号 ○○○○−○○−○○○○○○)」と記載することにより、登記事項証明書の添付を省略することができます。

申請書、添付書類の押印の要否について

これまで、いろんな書類の記載例を紹介してきましたが、書類によって押印マークがあるものとないものがあることにお気づきの方もいらっしゃるかと思います。ここではその点について説明します。

従来は、商業登記申請に関する書面には基本的に全て実印等による押印を行なう必要がありましたが、最近になって、オンライン手続の進展に伴い会社の代表者印(会社の実印)の届出が任意となったり(令和3年2月15日施行、商業登記規則の改正)、さらに政府の“脱ハンコ”政策の推進により、商業登記関係の押印規定に関しても全面的な見直しがなされています。結果、書面による設立登記申請においても、法令に押印規定のある場合を除き、原則(法的には)、押印は不要ということになっています(※31)。この新たな基準に基づき、これまでに出てきた書類の押印の要否をまとめたのが下表9です。

(※31)詳細は、「会社法の一部を改正する法律等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の施行に伴う商業・法人登記事務の取扱いについて(通達)」(令和3年1月29日法務省民商第10号)などをご参照。

【表9】設立登記申請書類への押印の要否について

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書類押印の要否根拠法規
原始定款社員全員の記名押印(実印又は認印、法人の場合は代表者印)、又は署名会社法575条1項
設立登記申請書代表社員の記名押印(登記所へ届け出る代表者印)、代表社員が法人の場合は職務執行者の記名押印(登記所へ届け出る代表社印)
又は、代理人の記名押印(認印)
商業登記法17条2項 
商業登記規則35条の2、1項
法人が代表社員である場合の職務執行者の選任を証する取締役会議事録(取締役会決議の場合、表8の4関連)出席取締役及び監査役の記名押印(認印)、又は署名会社法369条3項
委任状(表8の7の書類)代表社員の記名押印(登記所へ届け出る代表者印)、代表社員が法人の場合は職務執行者の記名押印(登記所へ届け出る代表社印)商業登記規則35条の2、2項
その他、表8に掲げた書類押印不要
尚、契印、訂正印(捨印)については、書面自体に押印が必要なものに限り押印が必要です。

押印についてのルールは以上の通りですが、実際のところは「本人意思の確認」、「コンプライアンス上」などといった理由で、押印を求める運営(認印で可とする場合も含め)がなされているケースが多くあります。実務的には、申請書類のドラフトができた段階で、登記所に押印についても確認するのが良いでしょう。

印鑑届書

先ほど、脱ハンコ政策に伴い会社の実印の届出が任意になったと述べましたが、書面にて設立登記申請を行う場合、申請書への押印は、登記所へ届出を行う印鑑によって押印しなければなりません(※32)。従って、登記申請書の提出と同時に印鑑届書を管轄法務局へ提出する必要があります。印鑑届書の記載例は、法務局 「商業・法人登記申請手続」をご参照ください。届出人となる代表社員の印鑑証明書など、添付書類にもご注意ください。

(※32)設立登記申請書以外にも様々な書面に会社の代表者印(実印)が必要となる場面は多く、従って仮にオンライン申請で設立登記を行う場合でも印鑑届は必須と言えます。尚、オンラインによる設立登記申請では同時に印鑑届も行えるようになっています。

以上で、合同会社の設立手続は完了です。まずは、ここまでの内容を反映した各書類(申請書、登記すべき事項(別紙など)、添付書類、印鑑届書、印鑑届書の添付書類(代表社員の印鑑証明書など))をドラフトとして準備し、登記所へ相談、確認を行なった後に正式な書類として整えて提出すると良いでしょう。これまで、各所で述べてきたとおり、押印の有無など、登記所によって異なる運営がなされている場合がありますので注意が必要です。登記所での相談では、押印の有無(実印・認印の別、契印、捨印など)のほか、署名者(業務執行社員か社員かなど)、日付のチェック(漏れ、前後関係など)、及び書類の綴り方について確認することをお勧めします。登記所での相談は、通常、事前に予約が必要です。また、相談には時間制限もあるので、ドラフト書類は一式整理してから臨むようにしましょう。

設立登記申請後の手続

設立登記と印鑑登録が完了したら、次に印鑑カードを作成しましょう。印鑑カードとは、法務局の窓口で会社の印鑑証明書を取得する際に必要なもので、作成するには設立登記が完了した後、管轄の法務局へ印鑑カード交付申請書を提出します(10分程で受け取ることができます)。また、その際、登記事項証明書(履歴事項全部証明書)と(印鑑カード取得後に)印鑑証明書も4、5通ほど取得すると良いでしょう。これらは今後、銀行口座開設、都道府県税事務所への設立届、社会保険手続などに必要となります。登記事項証明書と印鑑証明書は、オンラインサービス「かんたん登記申請」等でも入手できますが、利用要件(別記事「商業登記関係のオンラインサービス」ご参照)を満たす必要があります。

以上