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国民年金の第3号被保険者

初回出稿日:2024年12月22日

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第3号被保険者(国民年金の)

厚生年金保険の被保険者で65歳未満の者は同時に国民年金の第2号被保険者であり(※1)、その配偶者は一定の要件を満たせば国民年金の第3号被保険者となります(※2)。第3号被保険者である間は、自ら保険料を納めずとも保険料納付済期間として将来の年金額に反映されることになります(第3号被保険者の費用は第2号被保険者の厚生年金保険から拠出されるため)。

本記事では、配偶者が国民年金の第3号被保険者となる要件と、その資格に異動があった場合の届出についてカバーします。

(※1)65歳以上でも老齢基礎年金の受給権を有しない者は第2号被保険者です。この場合、老齢基礎年金の受給権を取得した月の翌月1日で第2号被保険者でなくなります。老齢基礎年金の受給権は、保険料納付済期間と保険料免除期間などを合計した受給資格期間が10年以上になったときに取得します。

(※2)国民年金の被保険者の種類については「公的年金制度の種類」ご参照。

国民年金の第3号被保険者の要件

国民年金の第3号被保険者となるには、第2号被保険者の配偶者であって、以下4つの要件(1. 年齢要件、2. 国内居住要件、3. 第2号被保険者による生計維持要件、及び、4. その他の要件)をすべて満たす必要があります。健康保険の被扶養者(※3)であり、20歳以上60歳未満の配偶者は基本的に国民年金の第3号被保険者になります。

1. 年齢要件

20歳以上60歳未満であること

2. 国内居住要件

以下のいずれかに該当しなければなりません。

・日本国内に住所(住民票)を有するもの
・日本国内に住所(住民票)を有しないが、日本国内に生活の基盤があるものとして厚生労働省令で定めるもの

具体的には、以下(※4)

外国において留学をする学生
外国に赴任する第2号被保険者に同行する者
観光、保養又はボランティア活動その他就労以外の目的で一時的に海外に渡航する者
第2号被保険者が外国に赴任している間に当該第2号被保険者との身分関係が生じたものであって、②に掲げる者と同等と認められるもの(海外赴任中に結婚した第2号被保険者の配偶者)
上記①〜④に掲げる者のほか、渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基盤があると認められる者
3. 第2号被保険者による生計維持要件

第2号被保険者の収入により生計を維持されているかどうかは、「健康保険法における被扶養者の認定の取扱いを勘案して日本年金機構が行う」と規定されており(※5)、以下の通りと解釈できます。

・対象者が被保険者と同居している場合

以下のいずれかを満たしている者

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対象者が60歳未満の場合、その年間収入(※6)が130万円未満であって被保険者の年間収入を上回らない者
対象者が60歳以上、又は障害厚生年金の受給要件に該当する程度の障害者である場合、その年間収入(※6)が180万円未満であって被保険者の年間収入を上回らない者
・対象者が被保険者と同居していない場合

以下のいずれかを満たしている者

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対象者が60歳未満の場合、その年間収入(※6)が130万円未満であって被保険者からの援助額(仕送額)より少ない者
対象者が60歳以上、又は障害厚生年金の受給要件に該当する程度の障害者である場合、その年間収入(※6)が180万円未満であって被保険者からの援助額(仕送額)より少ない者
4. その他の要件

以下のいずれかに該当する者は第3号被保険者になれません。

・第2号被保険者である者
・除外すべき者として厚生労働省令で定める者

具体的には、以下(※7)

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日本の国籍を有しない者であって、いわゆる医療滞在ビザで来日した者
日本の国籍を有しない者であって、観光・保養を目的とする最長1年のいわゆるロングステイビザで来日した者

(※3)「健康保険の被保険者」の「被保険者の範囲」ご参照。

(※4)国民年金法施行規則1条の3

(※5)国民年金法施行令4条

(※6)この場合の年間収入はすべての収入を対象とし、公的年金や失業手当なども原則として含まれます。

(※7)国民年金法施行規則1条の2

第3号被保険者に関する届出

結婚等により新たに第3号被保険者に該当した場合、離婚や収入増加等により第3号被保険者に該当しなくなった場合など、第3号被保険者に異動があったときには、厚生年金保険の被保険者である配偶者の勤める事業者を通して以下の届出を行わなければなりません。

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何をどこへいつまでに
国民年金第3号被保険者関係届(※8)所轄の年金事務所事実発生日から14日以内
  • 上記届の様式、記入方法や添付書類などについては日本年金機構「家族を被扶養者にするとき…」などをご参照ください。また、e-Gov による電子申請も可能です。
  • 尚、第3号被保険者であった者が、離婚、収入増加等により第1号被保険者になった場合は、別途、自ら国民年金の種別変更届を住所地の市区町村へ提出しなければなりません。
誰が国民年金の第3号被保険者であった者
何を国民年金の種別変更届
どこへ住所地の市区町村役場(マイナポータルからのオンライン手続も可能です)
いつまでに事実発生日から14日以内

(※8)協会けんぽに加入している事業所の場合、健康保険の被扶養者に関する異動届と一体となった「健康保険被扶養者(異動)届/国民年金第3号被保険者関係届」を使用します。健康保険組合に加入している事業所用の「国民年金第3号被保険者関係届」には、「健康保険の被扶養者」であることを健康保険組合が証明する欄があり、年金事務所への届出前に健康保険組合へ提出する必要があります。

以上