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その他の採用時の手続(健康診断、法定三帳簿への記入など)

初回出稿日:2024年5月28日

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雇入れ時の健康診断 健康診断個人票(雇入時)

従業員を雇う場合、これまで述べてきた「採用時の手続」に加え、事業者の義務として、健康診断の実施、及び、法定三帳簿への記入などが必要ですので、本記事では「採用時の手続」の最後として、これまでカバーしてこなかった手続について解説します。

また、採用時に従業員から提出してもらう書類とその処理について、これまで述べてきた記事でカバーした手続も含めて一覧表にまとめましたので、ご参考ください。

健康診断の実施

事業者は、常時使用する労働者(※1)を雇用するときは、当該労働者に対し、下表1の項目について医師による健康診断を行う必要があります(但し、採用の3ヶ月以内に健康診断を受けた者が、その結果を証明する書面を提出したときには、当該健康診断の項目については、省略可)(労働安全衛生規則43条)。

これは、「雇入れ時の健康診断」と呼ばれているもので、年に一度行わなければならない「定期健康診断」と合わせ、労働者を常時使用する事業者の労働安全衛生法上の義務ですので、遵守するようにしましょう。

小規模企業や個人事業の場合、実務上は、従業員の採用決定後速やかに「雇入れ時の健康診断」を任意の医療機関で受診してもらい、結果報告と費用請求をしてもらうのが一般的です。

さらに、従業員に健康診断をさせるだけではなく、その結果を「健康診断個人票(雇入時)」として記録し、5年間の保存義務もあります(労働安全衛生規則51条)。健康診断個人票は、必要事項がカバーされていれば書式は任意ですが、厚生労働省「労働安全衛生規則関係様式」にてファイルが公開されています(※2)ので、ご参照ください。

(※1)パートタイム労働者でも、1週間の所定労働時間がフルタイム労働者の1週間の所定労働時間の3/4以上ある場合は、この場合常時使用する労働者に該当します。また、派遣労働者については派遣元の事業者が健康診断を行う義務があります。

(※2)リンク先の様式第5号(1)」

【表1】雇入れ時の健康診断項目(※3)

1.既往歴及び業務歴の調査
2.自覚症状及び他覚症状の有無の検査
3.身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
4.胸部エックス線検査
5.血圧の測定
6.貧血検査
7.肝機能検査
8.血中糖質検査
9.血糖検査
10.尿検査
11.心電図検査
(※3)具体的には、医療機関で「雇用時健康診断」の受診である旨を伝えればカバーされるはずです。

法定三帳簿への記入

労働者を1人でも雇ったら、事業者は各事業場ごとに法定三帳簿(労働者名簿、賃金台帳、出勤簿)を作成し、保存する義務があることは、別記事「法定三帳簿の作成」でカバーしたとおりですが、個々の採用時にはその記入を行う必要があります(当然ですが)。記載事項等についても、「法定三帳簿の作成」をご参照ください。

採用時に従業員から提出してもらうもの

「採用時の手続」のまとめとして、従業員から提出してもらうものを下表2に掲載しておきます。

尚、本サイトでは法的義務のある手続を中心にカバーしているため、以下は、最低限のリストとしてご参考ください。事業者が任意に取得するもの(誓約書や身元保証書など)はカバーしておりませんのでご留意ください。

【表2】従業員の雇用時に提出してもらうもの

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(雇用保険被保険者証を紛失するなど、従業員の手元にない場合は転記不要)
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健康診断書本記事で説明のとおり、雇入れ時の健康診断の結果を取得し健康診断個人票(雇用時)として記録、保存本記事
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以上